ぶらあぼ(2012年6月号)メシアン:幼子イエズスに注ぐ20のまなざし

フランスものを得意とする菅野潤が、多様なタッチを駆使して奏でるメシアン。 パリに暮らして30年以上になる菅野は、パリ国立音楽院留学当時、メシアン夫人のイヴオンヌ・ロリオのも とで学んだ。この録音にはメシアン自身から直 接受けた指示も生かされているという。 2枚組 で収録された 2時間超の演奏で、天上に 響 く鐘のような音 、心のざわめきをなだめる静かな音、 闇 を切り裂く稲妻のような音と、めくるめく世界 が展開する。ダイナミックで、 繊細。敬虔な力ト リックの実践者であったメシアンの崇高な精神 世界を、心に 寄 り添う生きた音楽で 再 現した功績 は大きい。心を打つ演奏だ。

高坂はる香